化学肥料、農薬を一切使わない米作りをして日本一に表彰された高橋氏は、有性微生物を用いた土作りの研究の中で発酵飲料「バランスα」(※農業用もある)を開発。今回は「思い」を重視した稲作りのお話を伺いました。

微生物を農業、人体に活用
「どんな作物でも、
作りたい姿を思い描くことです」

対談:高橋 剛氏×中西研二

高橋剛(たかはし・つよし)●1946年10月14日山形に生まれる。若くして家業の農業を継ぎ、米作一筋で今日に至る。3年連続して山形県良質米多収穫共励会において最優秀賞を受賞。昭和63年真室川町有機無農薬組合を結成し、化学肥料、農薬を用いた農業から脱却。以降今日まで有用微生物群を用いた土つくりを徹底的に行い、農薬、化学肥料を使わない自然農法を実践すると共に、その技術の普及に努める。 指導実績は国内(3千戸)にとどまらず、遠くロシア、オーストラリア、中国、フィリピンに及ぶ 。現在も農作業のかたわら、全国で年間50回を超える指導・講演を行っている。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。ヒーラー。ワンネスメディテーター。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来20年間で20万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は7名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

忘れられない黄金色に輝く田んぼ

中西 高橋さんとは、もう20年のお付き合いになりますね。いったんやめていた米作りをまた再開されるそうですね。

高橋 しばらくは息子に任せていましたが、また始めます。自分の中に究極の田んぼのイメージがあるのです。それは小学校5年生の頃に叔父が作った田んぼです。見渡す限り、黄金色の稲が広がっていて、本当に美しかったです。あの光景がいまでも脳裏に焼きついて離れないのです。ああいう本当に黄金色の稲を一度と言わず、毎回作ってみたい。そういう思いが米作りをやめてからもずっとありました。そのことを息子に話したら「だったら親父が米作りをするんだ。みんな待っている」と言ってくれたのが後押しになって再開することにしました。

中西 高橋さんのお米は放射能の心配もないし、栄養価の高い美味しいお米ですね。とても広い田んぼなんでしょう?

高橋 そうですね。そもそも消毒したくても機械で届かないほど広いので、虫のこない環境作りをするしかなかったのです。虫というのは、稲に最適な環境を作れば消毒などの必要はまったくないのです。それは日陰ができにくい環境と植物の勢いです。虫は日陰に集まるので、葉が茂らないように離して植えています。植物の勢いは、その土地が健康かどうかによります。病気も虫も、勢いのある植物には寄ってきません。健康な土地から出てくる勢いのある稲だから、うちは無農薬でやっていけるんです。

中西 自然界ってすごいですね。では高橋さんの田んぼにはたくさん生き物が生息しているのですね。

高橋 オオサンショウウオがいましたね。あと白鳥が飛来して、なぜかうちの田んぼにだけ降りたり。不思議なもので農薬を使っていない田んぼがわかるみたいですね。

中西 これだけ放射能の汚染がひどいいまの日本で、勢いのある田んぼを作るというのは本当に頼もしいですね。これを全国に広めていきたいですね。

高橋 今度、会津の農家から教えてほしいと言われているのでやってみようと思っています。今年は農業の面で忙しくなりそうです。

中西 それは稲だけでなく畑や果物でも応用できるのですか?

高橋 作物はみんな同じです。野菜であれ、稲であれ、果物であれ。フィリピンではバナナ、オーストラリアでは牧草、ロシアでは小麦の指導に行きました。これらの作物を作ったこともなく、初めて行く土地でしたが同じでした。

うちには畑もありますが、白菜は8キロもする大きなものや、キャベツも両腕に抱えるほど大きいのがとれました。

中西 それはすごいですね!

植物から教わる震える「愛」の感情

中西 再稼働した稲作りで、新たな目標はありますか?

高橋 今まで、自分の作る稲は荒っぽい稲だったんですね。「もっと俺を見ろ!」といった感じの。これからは優しい稲を作るつもりです。もう頭の中で描いているので、作れると思います。

中西 出来たときのイメージが、しっかりあるのですね。

高橋 作物づくりは、とにかく「こういう作物をつくりたい」というイメージを持たないとダメです。反対にしっかりしたイメージがあれば、どんな作物でもできます。

中西 ああそうか。思えばいいんだ。

高橋 思って、そのイメージに向かっていくことです。それがない人には作れませんね。

中西 それはすごい。農業とスピリチュアルがリンクしましたね。

高橋 思うことって、農業ではすごく大事なんです。実験してみるとすぐ実感しますよ。2つのプランターに同じ花を植えてみてください。育てる環境もまったく同じ。ただ片方の花には罵詈雑言(ばりぞうごん)を言い続け、もうひとつには優しい言葉をかけ続ける。そうすると罵られている花はあっという間に枯れます。明らかな違いが出ますよ。

中西 そういう実験データはありますよね。音楽をかけて育てるとか。

高橋 農業に従事している人の中でも植物が何も感じていないと思っている人は多いのですが、植物にはとても豊かな感情があると思います。本当に人と同じですよ。

私が農業試験場の学生だった頃、担当の先生が「君は好きな人ができたらどうなる?」と聞いてきたのです。だから私は「胸が高鳴って、震えてくる」と言いました。その先生は「そうであろう」と虫眼鏡を持って、おしべとめしべを見せてくれました。すると近づけたおしべとめしべがお互いを求めるように震え始めたんです。

つまり受粉が始まったわけですが、あの様子を見ると植物に意識がないなんてとても思わなくなりますよ。今でもあの光景が脳裏に焼きついています。

この経験はとても貴重だったと思います。その後の農業人生で、作物にも意識があるという根底の考えが生まれたわけですから。

中西 言葉が出せないだけで植物は全部感じていますよね。高橋さんの作る野菜や稲が美味しいのは当たり前ですね。

ぜひ全国で農業学校を開催してほしいと思います。

今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2014年4月号掲載