いやしの村だより7月号の対談者・安藤妍雪さんより「素晴らしい方がいる」とご紹介された、愛媛県今治市で建築・解体業を営む長崎氏。とても70代には見えない長崎氏を目の当たりにし、生命エネルギーを上げる竹のすごさを実感! 建築業界にいる中で、資源を常に還元していこうと模索する情熱が生んだ、驚くべき効果の数々でした。

竹の持つ生命力を体に土地に、
取り込む

対談:長崎信行氏×中西研二

長崎信行(ながさき・のぶゆき)●長崎工業株式会社代表取締役、株式会社竹宝代表取締役。産廃処理等で培ってきたノウハウを生かし、平成19年より竹を有効活用した土壌改良有機堆肥の開発・製造販売を開始。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来25年間で22万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

放置竹林の竹を有効活用

中西 竹炭などから作る製品は知っていましたが、竹を農業に生かす技術は初めてです。

もともと建築関係のお仕事をされていて、それがどうして竹の開発につながったのですか?

長崎 ビルや木造家屋の解体をしているのですが、解体する際に木くずや廃材がたくさん出るのです。法律が変わって、そのまま捨てられなくなったので細かく破砕をする中間処分場を作りました。

廃棄木材の中には、山の伐採で竹が多く混じっています。しかし竹は固くて破砕する刃がすぐダメになってしまうのです。処分場としても迷惑な存在なのですが、それほどまでに固い強さを持った竹には何か秘密があるんじゃないかと思い、二次利用して竹の良さを生かすことができないかと興味を抱いたのが20年ほど前になります。

中西 確かに竹は、昔は竹細工などでそれなりに利用されてきましたが、いまはプラスティックがそれに代わってしまいましたからね。それでどのように使おうとしたのですか?

長崎 子どもの頃、青森からリンゴ箱が送られてきたことを思い出しました。

箱の中にもみ殻が敷き詰められていまして、リンゴに傷がつかないようにするためだと当時は思っていました。でも中に入っているリンゴが白っぽかったんですよね。野菜や果物の表面が白っぽくなっているのは鮮度が高い証なのです。朝早く収穫された果物などはみんな表面が白っぽいのです。

ほかにも田舎の家では、床下の地面を掘ってそこにもみ殻を敷き詰めて芋を貯蔵していました。そうしておくと何カ月も腐らないで保存できるのです。

実は竹もイネ科なのです。もみ殻がそんなに鮮度を保つ効果があるなら同じイネ科の竹にもできないかなと思い、特殊な機械で竹を綿状に粉砕してみました。綿状に細かくすると、竹から乳酸菌がたくさん出てくるのがわかったのです。すると温度が70度くらいにまで上昇し、乳酸発酵を始めます。それをたい肥に使ってみたのです。

土壌に散布すると、土壌菌が乳酸菌を餌にしてたくさん増えたのです。そのうえ竹の細胞には空洞がたくさんあって、そこに化学物質等が付着して、有害物質を減少させ、土壌の改良をしてくれます。

その変化は、土壌菌の数も48時間後には倍以上に増え、化学肥料の弊害で弱り、固くなっている土地が竹の繊維質の効果も手伝って、柔らかくなります。

その商品は愛媛県の優良リサイクル商品にも選ばれました。

土地の改良材から健康補助食品を生み出す発想

中西 わぁ! すごい! そんな土地でできた野菜は美味しいですよね。

長崎 糖度が上がるし、栄養素も豊富になります。その土地で作ったキウイは糖度が20度もありました。鮮度も長持ちして、収穫量も増えます。アブラムシなどの害虫にも強くなります。

それで、土地の土壌菌が乳酸菌で増えて有効なら、人間の大腸で働く善玉菌にも効果があるだろうと思い、サプリメントも作ったのです。

中西 竹の持っている生命力はすごいですからね。それを人間にも取り入れることができればすごい活力になりますね。

長崎 そうなんです。西日本一帯に広がり、放置竹林の原因となっています孟宗竹は、タケノコの生長が止まり、竹に成長してから約60年も枯れないし、切っても土中の根から新しい芽が出たり、生命力が本当にすごいのです。

その理由の一つが成長抑制ホルモンであるアブシジン酸が豊富で活性酸素の発生を抑制するからです。その竹の成長を詰め込んだサプリメントは細胞が若返り、元気になります。

中西 確かに肌に張りがありますよね。おいくつになられるのですか?

長崎 71歳になります。

中西 えー! 同じ歳ですか? せいぜい50代にしか見えません。

長崎 飲んでいると細胞が若返るというか、気力が上がり、疲れることがないですね。

髪の毛も染めたことないですよ。髪の毛一本一本が太くなって抜け毛も減ります。

中西 地毛でそんなに黒々しているんですか? すごいですね。竹に関しては、ほかに、どんな製品があるのですか?

長崎 竹のエキスで作った化粧水もあります。これもお肌が柔らかくすべすべになるし、抜け毛予防にもなります。

また臭いの除去に優れています。体臭も体にスプレーして3秒でなくなりますし、タバコの臭いなどはすぐに消えますよ。例えばここに臭いのきついエビがありますよね。一度散布してみますので嗅いでみてください。

中西 ……まったく臭いがしない。すごい製品ですね。

レンコンと竹で万能サプリメント誕生

中西 使われなくなった田んぼをレンコン栽培に使っていると聞いたのですが。

長崎 島根県に浅床レンコン栽培の特許を持っておられる方がいて、その方はもう高齢ですが、若い頃に医者に血液がドロドロで10年は持たないと言われたそうです。

そのとき、「レンコンが体にいいのでそれを食べてみたら?」

と言われ、レンコンを食べるようになったのですが、毎日食べるには高価だし、自分で作ると重労働。それで簡単にレンコンを栽培する方法はないかと研究を始められたのです。

その栽培方法で収穫した場合の収穫量は通常の2倍。それを指導も含めて、全部うちで買い取ります。そうすると農家も安心して栽培できるのです。

中西 それはいいことですよね。使われない田んぼが今はたくさんありますから。栽培が大変だけど、レンコンの栄養素は食べ物の中で一番というくらい高いものですし。

長崎 米作りができなくなったお年寄りの、次を引き継ぐ若者がいないんですよ。田植え機とか初期投資がそもそも高額で、ハードルが高いんですね。

でもレンコン栽培なら機械がいらないから少ない初期投資で気軽に栽培できます。稲作より収益性が高く、収穫時期が長いのです。

使われないで荒れ地になるくらいなら、レンコン栽培に活用したほうが土地も喜びます。

中西 そのレンコンの田んぼにも竹の土壌改良たい肥を使って、栄養価の高いレンコンができるわけでしょう。素晴らしいですね。それもサプリメントにしているのですね。

長崎 そうです。レンコン8割、竹2割でできています。これもアミノ酸、ビタミンC、ポリフェノールが豊富に含まれていてさまざまな効能があると言われています。

中西 こんな時代だから、なかなか栄養が摂取できなくていろいろなサプリメントで補う人が増えていますが、竹とレンコンの2つを飲めば元気でいられそうですね。

厄介者の竹林が宝の山に

中西 「竹取物語」は竹から命を生み出す話ですが、竹は昔から不思議な存在でしたね。

でもいまは邪魔者のように言われていて。それがこんなに素晴らしいサプリメントや土地改良材になるなんて。

長崎 いまでは竹を利用する用途もあまりなくて、放置竹林という環境問題になっているくらいです。

生命力がすごいので、田舎のほうではどんどん竹が増えて、年間8%くらいの速さで山が浸食されています。

そんな厄介者の竹が、資源に変わって、実は宝の山だったという認識が多くの人に伝わってほしいと願い、社名を「竹宝」としました。

中西 いままでの竹の使い方と違いますものね。もっと深いところまで活かしていると思います。本当に宝の山ですよ。

今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2019年8月号掲載