真珠養殖で世界的に有名な家系に生まれた谷氏は、幼少の頃から真珠に話しかけられたそうです。真珠を心から愛する谷氏が受け取ったメッセージは、人類を深く愛する真珠の想いでした。
すっかり意気投合したケビン。近いうちにコラボ企画があるかもしれませんね!
真珠のように、
もともと輝いている
自分を好きになる
対談:谷興征氏×中西研二
谷興征(たに・たつゆき)●有限会社谷真珠 代表取締役。
1969年三重県伊勢市生まれ。世界で初めて真珠の養殖に成功して事業を成した家系に生まれ、波瀾万丈な人生を歩む中で真珠の本質にたどり着く。一般社団法人日本真珠振興会による専門家養成課程シニアアドバイザー専任講師(登録No.001)、NHK文化センター真珠の見分け方教室講師、GIA(米国宝石学会)パールディプロマ。パールジュエラーとして、真珠との関わりから学んだ人間の本質や、真珠本来の役割を伝える講演をはじめ、子育て・コミュニケーション・リーダーシップ・パートナーシップ等に悩むすべての人に向けたワークショップ「パールメソッド®」を展開。バンクシアブックス新刊『本当の輝きに出会う心珠のお話』著者。
中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来25年間で22万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。
真珠は貝の中ですでに輝いている
中西 真珠養殖の一族にお生まれですが、最初は普通のサラリーマンをされていたそうですね。
谷 いろいろ家庭の問題がありまして、自分自身もそういうことが原因で言語障害が起きたりと大変な思いをしてきたので、真珠の世界から離れたかったのです。
でも、小さい頃から家に真珠が転がっているようなところで育ったので、私にとって、真珠は特別な存在でした。伊勢神宮のご神域のすぐ近くで育ったというのもあるのか、すべてのものに神が宿るというアニミズムの考えが皮膚感覚にあり、真珠は「モノ」ではなく、私に何かを伝えてくるような感じでした。
そういう感覚で育って、一度は真珠から離れたけど、幼い頃にぼんやりと受け止めていたメッセージを後押しするようなさまざまな出会いを経て、引っ張られるように真珠の世界に戻ってきたのです。
中西 真珠の本質を感じ取っていたわけですね。そのメッセージとはどういうものなのでしょう?
谷 真珠は、色も形も大きさもさまざまです。ただ一つ、すべての真珠に共通して言えることは、「輝き」です。お母さんの貝を開けたときにはもう輝いているんです。どんな形で生まれてこようと、すべてに輝きがある。それって、私たち人間と同じですよね。
中西 ほかの宝石はどれも研磨することで輝きを増しますが、なるほど、真珠はすでに輝いていますね。
谷 私自身も、身体的、精神的なことで劣等感で苦しむ時期があったので、自分を好きになるということ。つまり自分の持っている輝きをいかに信じ切れるかというのが、人にとってすごく大事なことだと感じました。そのことを真珠はとてもソフトに、そしてダイレクトに私たちに伝えてきます。
この世に存在するものにすべて意味があるなら、真珠には、そのことを私たちに伝える使命があるような気がするのです。
真珠は、古くからご神事に使われるような神聖なものでした。伊勢神宮では今までも遷宮のご神宝として生珠(加工されていない状態の真珠)を奉納しています。古代の人たちは、生まれたままに輝く真珠を見て、そこに秘められたメッセージを感じ取っていたのではないでしょうか。
古代の人たちが持っていた真珠観をもう一度、現代の私たちに気づかせるために、今、こういう流れになっているのではないかなと思うのです。
「違っていていい」と真珠が語る
中西 それはとても大事なことですね。私たちが生まれた理由を考えたとき、やはり一人ひとりが喜びにあふれ、輝くということが一番大事なことなので。「もともと輝きを持った存在」ということに気づかせるきっかけになれば、真珠も喜ぶでしょうね。
谷 そう感じてくれれば私もうれしいです。
多感な時期の子どもたちに、「みんな違っていていい」ということを、真珠を通したお話で全国を回っています。そのとき、彼らから返ってくる反応には本当に胸を打たれます。「お話を聞いて、人と同じじゃないといけないと思っていたけど、真珠のように違っていい。そこには輝きがあるから」など、みんなしっかり受け止めてくれるのです。
そういう話を伝えていくうちに、自分自身の輝きを思い出す一助になればいいと考えたのが、ペンダントを作るきっかけでした。
中西 『心珠®のひとしずく』ですね。これはすごく感動しました。しかも紐(ひも)が精麻でできているのですね。麻は光を通しますから、中の生珠が喜んでいます。
谷 以前から麻と真珠を組み合わせたかったのです。海からとれる真珠が「潮(しお)」を象徴とするなら、麻と潮には、どちらも祓(はら)い清めの意味があります。
また、真珠を語るうえで欠かせないのが月との関係です。洋の東西問わず、真珠にまつわる神話や民話には必ず月が登場します。実際、真珠貝は潮の満ち引きによって一枚一枚の層を育てるので、月の満ち欠けとすごく関係しています。それは女性の月経周期とも同じで、特に女性は真珠との相性がいいのです。
中西 真珠って不思議ですよね。宝石も生きているけれど流れる時間が非常にゆっくりなんですよ。だからほとんどの人は、その変化に気づかない。だけど、真珠は不思議なことに人間と同じ時間軸で変化するのですね。
谷 おっしゃる通りです。宝石の中で唯一、生命体から生まれるのが真珠です。そういう意味で真珠は我々と同じ波長を持ち、パートナーとしていつも身に着けているのに親和性がいいのです。
「頑張る」よりも「自分が好き」
中西 「心珠(しんじゅ)」という字を選んだのはどうしてですか?
谷 実は、最初に思い浮かんだのは「神珠(しんじゅ)」でしたが、神の分け御霊(みたま)としての光の珠という意味で「心珠」にしました。
中西 やはりそうでしたか。私も最初に「神」が浮かんだのです。それから「珠」は「寿」ですね。
谷 その通りです。私の先祖も「真寿(しんじゅ)」と表していました。
中西 そう思います。真珠は七色に輝きますからね。七色とは何かといいますと、森羅万象を表します。つまり、「この世のすべては喜びの中で作られている」というメッセージを体現したものが真珠だと、昔から思っていました。
唯一お悔やみごとで許されている装飾品は真珠ですが、それを「神の寿(よろこび)」だとすると、「これからの旅立ちも祝福されているよ」という意味が込められている気がするのです。
谷 本当にそうだと思います。
中西 私たちが、輝く真珠そのものなら、すべてが「すでにある」ということを気づかせてくれますね。
谷 サラリーマンをしていた頃、上司に「君は磨けば光るダイヤの原石だ」というほめられ方をされました。「頑張れよ」という意味で、悪い言葉ではないことはわかっていましたが、どこか違和感を感じていたのです。「磨けば光る」という表現に、「じゃあ今は…?」という感じになりました。
それが真珠の仕事に携わるようになって、その違和感の正体がわかったのです。頑張らなくても、すでに魂は、輝いていた。一生懸命な人や、頑張っている人を否定するわけではなく、もっとフォーカスしたいことは、もともと輝いている「今の自分が好き」ということなんです。
中西 よくわかります。頑張ってもいいし、頑張らなくてもいい。だけどそんな自分を好きになると、いろいろなことが上向きになっていくのです。それはその人の魂が喜ぶからなんですね。
私がヒーリング活動を始めた頃から変わらず伝えてきたことを、谷さんは真珠を通して伝えてくれていると思いました。
今日はお忙しいところ、ありがとうございました。
(合掌)