ロマンあふれる超古代の富士王朝。日本誕生のその中心にあったとされる不二阿祖山太神宮。長い歴史の中で消滅寸前にあった太神宮は、渡邉宮司らの長年の努力によって再建されました。
「私たち日本人は、伝統的に神と自然と共生してきました。それが日本最古の不二阿祖山太神宮より伝えられている原始神道の日本人の精神です。そのことをもう一度思い出して、世界に伝えていきましょう」と、富士山を囲み10万人の手つなぎによる平和祈願のイベントを企画中。想像するだけでワクワクしますね。

10万人の手で富士山を囲み平和を祈る
「自然(神)と共に生きる」
神道精神を世界に発信

対談:渡邉聖主氏×中西研二

渡邉聖主(わたなべせいす)/渡邉政男(わたなべまさお)●幻の古代富士王朝、その中心にあった不二阿祖山太神宮の再建を進めている。代表役員であり宮司という顔を持ちながら、農家でもあり、NPO法人 地球と共に生きる会理事長、みんなの富士山学会3代目会長、中央線沿線楽会2代目会長、日本煌輝推興奉仕会代表理事を務め、2014年10月11日から13日にかけて山中湖交流プラザきらら等で開催されたFUJISAN 地球フェスタWA2014の実行委員長を務めた。2014年6月22日にはサンマリノ共和国にて、欧州初の神社建立式典に参列し、その後執り行われた神前結婚式の祭主を務めた。サンマリノ神社宮司と固い握手を交わし、今後姉妹神社として共に歩んでいく思いを語り合い、絆を深めた。現在、富士古代史考古学研究所所長として、都内で行われるセミナーに講師として登壇中。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。ヒーラー。ワンネスメディテーター。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来20年間で20万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は7名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

歴史の闇に消えていた太神宮の復活

中西 不二阿祖山太神宮は、日本誕生までさかのぼるほどのたいへん深い歴史を持つ神社ですね。しかし、いつの時代からか消失寸前になっていたものを、渡邉さんがたいへんな努力をされて再建されるに至ったのですが、何かきっかけとなるようなことがあったのですか。

渡邉 20歳のころから、何者かに意味不明の言葉を言わされていました。調べてみると、それは古代の言語で、ちゃんと存在する言葉だったのです。

そのような経験から、自然に古代文明に意識が向くようになりました。

それで宮下文書(富士宮下文書)に出合ったのです。

宮下文書によれば、現在の富士吉田市大明見村(おおあすみむら)に富士王朝(神武天皇以前に存在していたとされる王朝)が存在し、不二阿祖山太神宮は王朝の中心だったのです。

王朝は不二阿祖山太神宮に始まり、天神、地神に分かれ、地神の第一代が天照大御神(あまてらすおおみかみ)であり、富士聖域の守護神霊が不二阿祖山太神宮に鎮まったというわけです。代々の天皇の即位式は、この神社で行われたと書いてあります。

文献によれば、不二阿祖山太神宮は三度再建されています。一度目は平安時代に富士山の噴火によって焼失しています。これを再建したのが鎌倉幕府の源頼朝公。二度目が昭和初期に当時の総理大臣齋藤實氏と東京都知事がテコ入れし、その後、ある宗教団体と富士浅間神社の宮司さんが再建を試みて、どちらもうまくいかずに20年近く放置されていたのです。それを私が少しずつ整理し、建物も寄贈していただき、7年かけて各方面の方々に同意書をいただきました。

長年放置されていたものですから、ここできっちりと整理しておかないと、後でもめ事など起こしたら神様が喜びませんからね。宮内省にも「古文書に残されている古い歴史ある神社を再建させていただきます」とお断りを入れました。

そして、平成18年から再建が始まりました。

中西 神殿はいつごろできたのですか。

渡邉 平成19年5月5日、御本殿だけの御建立祭を挙げました。そのときに拝殿まで造ったのですが、焼失してしまいました。原因はわからないままです。人気(ひとけ)のない真夜中から朝方にかけてのことで、誰にも気づかれずに突然燃えて消えていたのです。きれいになくなっていました。

中西 誰も火事と気づかずにですか?

渡邉 はい。拝殿の西側が東北本宮浅間神社の山宮になっています。富士宮市にある富士山本宮浅間大社の山宮(やまみや)も何度再建しても焼失するのです。それで、建てなければ焼失することもないだろうということで、ただ柵で囲っただけの青空祭事殿にしました。

神農法で今も立ち上る神のエネルギー

神のエネルギーがいつもそこここに現れる(中央部分)

神のエネルギーがいつもそこここに現れる(中央部分)
神のエネルギーがいつもそこここに現れる(中央部分) 再建された現在の不二阿祖山太神宮
不二阿祖山太神宮の看板 不二阿祖山太神宮の看板
再建整理のときに保存された看板 再建整理のときに保存された看板
(上)神を意味する十字架が現れる (下)光龍神様がとぐろを巻いて守っている様子 (上)神を意味する十字架が現れる(下)光龍神様がとぐろを巻いて守っている様子

 

中西 不思議なことがあるものですね。でもそこに神社があったのでしょう?

渡邉 そうです。ここが(手元の古図絵を差して)本殿があった所です。この図の池の真ん中に亀の絵がありますが、この亀には深い意味があります。

各地の田んぼで銅鐸(どうたく)が発掘されましたが、その絵板に鶴と亀とエネルギーが描かれています。つまり、この亀は巫女(みこ)であり祝詞(のりと)を上げるシャーマンでもあった「亀つ姫命(かめつひめのみこと)」、別名「天宇受売命(あめのうずめのみこと)」です。

「天宇受売命」は古事記の中では神楽(かぐら)を舞い、天照大神に天の岩戸(高天原)から外へ出ていただくという話になっていますが、実際は富士山にいらっしゃったんですね。だから、現在でも奉納舞を捧げると天がパーッと裂けて「天宇受売命」の神様がお出ましになるんですよ。お好きなんですね、踊ったり言霊(ことたま)をあげたりするのが。今でも、ものすごいエネルギーをいただいていますよ。

中西 この田んぼの写真にもエネルギーが写っていますね。

渡邉 そうです。これは、超古代文書の中の科学書にカタカムナ文書がありまして、その中に書かれている神農法(しんのうほう)を取り入れて育てた田んぼです。田んぼの中に「光の御柱(みはしら)」を立てるのです。ただ丸太を立てればいいだけなのですが、ものすごいエネルギーが立ち上ります。

福島県の佐藤農園で昔ながらの農法で農場を運営されている方に粟(あわ)畑を作ってもらっているのですが、間引きをした苗を私の手にのせたので、「間引きをしたら苗が死んでしまうので困ります」とお話し、「元気に生きよ」と、その苗を畑に戻し植えました。それで驚くほど大きく見事に育って、「命の尊厳」を見せていただきました。その種を種苗にすると何代にもわたって大きく実るのです。命と命が通い合うと、それに応えてくれるのです。現代人はそういう大事なことを忘れていますね。

人が命を大切にし、神と自然と共生した生き方をすることは、人と神様との太古からの約束なのです。

富士山を囲んで10万人の手つなぎ平和祈願

たわわに実った粟の穂

たわわに実った粟の穂

中西 興味深いお話が尽きないのですが、これからの時代に、不二阿祖山太神宮が果たす役割は何でしょうか。

渡邉 古代からの日本の歴史や富士山の信仰などを調べたのですが、やっぱり山岳信仰に辿りつくのです。山は神であり、人は神と自然と共に生きていかなければならない。それが日本人の伝統です。

ところが、日本は戦後、「神と自然と共生する」ことを忘れてしまった。日本人の生き方の中に神道精神が消えてしまったのです。若い人が神社仏閣の区別もつかなくなってしまった。今や全国の神社仏閣が低迷しています。私は、日本人が本当に大切にしなければならない生き方を復活させたいのです。

そのためにNPO法人「地球と共に生きる会」を始めたのですが、NPO法人は行政の監督下にありますから本当の意味の信仰の世界観まで伝えられない。それで思い切りシンプルに「日本人の魂の生き方」をテーマにして、神道精神を世界に展開していこうと思っています。自然保護と自然と共に生きる精神を養うという教育を目的にしています。

このことによって自然界が守られていく。日本の未来の子どもたちだけでなく、世界の人々にきれいな大自然を残していける。そしてその子どもたちが永遠にその自然を守っていく。しかも原始神道であれば宗教的なものはなにもなく、山が神であり、富士山がご神体であり、その上におわします神のご意思が伝わって、それを素直に受け取れるような子どもたちが育ってくれればいいのです。これがまさに、神道精神そのものなのです。行政も協力してくれるでしょう。

中西 なるほど。それでいよいよ来年は富士山の周りを10万人が手つなぎで囲んで平和を祈るイベントに取りかかるんですね。素晴らしい企画ですね。私たちのヒーリングの仲間だけでなく、ニュージーランドの先住民の方々が日本でサミットを行う予定があるそうですし、全国の山伏の方々も協力を呼びかけてくださるそうです。

渡邉「神様のエネルギーはすごいですよ」 中西「ぜひお力をお借りして、世界の平和のために祈りましょう」

渡邉「神様のエネルギーはすごいですよ」 中西「ぜひお力をお借りして、世界の平和のために祈りましょう」

渡邉 ありがとうございます。うれしいですね。10万人の手つなぎは、「地球フェスタWA」のイベントの一環で、実行委員には行政にも加わっていただいて、国家事業として働きかけていきたいと思っています。

それから若い人もどんどん育ってきていますので、「大和魂」「大和撫子(なでしこ)」「自然は神」などをテーマの中に取り入れていきたいですね。

「不二阿祖山太神宮の神事はどなたでも参加できます。宗門宗派はございませんので、どんな宗教を信仰されていらっしゃる方でも、それぞれの流儀でお参りされてくださいね」とお話しております。そういう人々が集まって一つの地球の里村ができ、世界平和を実現できるのではないかと考えています。

中西 それこそまさしくワンネスの世界ですね。私も世界平和実現のために全力投球します。どうぞお役立てください。今日はお忙しい中、ありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2015年1月号掲載