2019年1月23日に神奈川県三浦海岸で「全国お世話係会議」があり、その席でGOP(グリーンオーナー倶楽部)の主宰者である大下伸悦氏に講演をしていただきました。画期的な農業の方法と実際の写真の数々に、会場は驚きの声に包まれました。大反響だった今回の講演の様子をお伝えします。

既成概念を変えた!
楽しみながら社会に貢献する
新時代の農業

大下伸悦氏

大下伸悦(おおした・しんえつ)●自由芸術農園運営・GOPグリーンオーナー倶楽部主宰。楽しく生きる会会長。二十一世紀幸塾専務理事。新日本文芸協会顧問。作家名:小滝流水。伊勢神宮の神代文字奉納文・保存会代表。GOPでは、日本の農業を救う具体案を実践を通じて提示する。二十一世紀幸塾、GOPホームページコラムにて最新情報を発信。
1949年、岩手県久慈市生まれ。
著書に『幸せを引き寄せる食と農』(新日本文芸協会オメガΩ)、『新時代の食と農業へのいざない』(新日本文芸協会オメガΩ)など多数
★GОPグリーンオーナー倶楽部 http://www.gop55.com/
★二十一世紀幸塾 http://www.saiwaijyuku.gr.jp/
★新日本文芸協会 http://www.sn-bungei-kyoukai.com/
★伊勢神宮の神代文字奉納文保存会 http://hounoubun-hozonkai.com/

日本が変わる時代へ

この会場の生命エネルギーはすごいですね。とても運を引き寄せています。こういう光栄な席にお呼びいただきまして、ありがとうございます。

今年は、天皇皇后両陛下の御代替わりがありますね。また来年は東京オリンピック。そして5年後には大阪万博が開催されます。戦後、借金だらけの貧しい日本が奇跡の復興をしたと言われていますが、まだまだこれからです。これから第二陣の風が吹き、いよいよ日本が新しく生まれ変わっていきます。

これからの日本はどういう方向に向かうでしょう。経済的には共同体を作り、その中心になるのが日本だと思います。

その中で、農業はどうでしょうか? いま日本の農産物輸出は6年連続過去最高を更新中です。品質のいい日本の農産物は世界中で求められています。実は、日本の農業は有望な分野なのです。

しかし、日本の農業は高齢化が進み、若者離れが起きていると言われています。耕運機や農薬、肥料の購入で元手がかかり、草刈りなどの手間もかかり、鳥獣被害や天候にも左右されて安定した収入が得られないというイメージを持たれているでしょう。実際そういう苦労をされている農家の方が多くいます。

そういった農業の問題を解決するために、私たちGOP(グリーンオーナー倶楽部)が実際にどうやっているかお話ししましょう。

常識をくつがえす、驚くべき農業

今回、依頼されたところは岐阜県です。現地に行ってみると、草はぼうぼうで土地を持て余している様子でした。

依頼の女性は70代で、いままで働いたことがない方でした。農業をしている人は高齢の方が多いので、体への負担にならないよう、私たちは「しゃがまない」農業を探求してきました。種を蒔くときに、しゃがみますが、私たちは空洞の杖を使って上から種を落としていきます。こうすると種蒔きも楽にできます。この杖は100円ショップで売っているものなので、費用もほとんどかかりません。

それから、ホームセンターで売っている化繊の紐を四方に張り巡らせます。そして空のペットボトルに微生物の液体を詰め込み、5円玉くらいのシールを蓋にペタッと貼り、これを吊り下げておきます。これでもうカラスは来なくなります。カラスだけでなく、イノシシ、シカ、サル、モグラ、ネズミも来ません。私が畑に入るときはサンダル履きですが、「この辺りは蛇が出るから長靴を履いたほうがいいですよ」と言われました。でも蛇も出ないので、いつもサンダル履きです。鳥獣が近寄らなくなるだけで、殺すわけではないので平和的な方法です。

鳥獣被害は本当に深刻で、長野県で長年リンゴ農園をされている方から相談がありました。収穫の時期になると、サルやイノシシの集団がやってきて根こそぎ持っていってしまうので収穫がゼロになってしまう、と。それでこの化繊の紐を使ってみたのです。その年からサルもイノシシもみんな来なくなりました。そして土壌も変わって、リンゴの質が良くなりました。

草は少しは生えますが、生えてきたら光合成をストップさせる方法をとります。そうすると植物の生態水は地面に吸収され、残りは無機物となって、自然に土地に還ります。これが肥料になります。

6月に出荷した夏にできる白菜

6月に出荷した夏にできる白菜

次に、私たちは耕運機を使用しません。人の皮膚も表面はプラス電子で酸性ですが、地面も同じです。酸性ですと病原菌が入り込みません。表面には酸性を好む微生物が、内部は水素を好む微生物が住んでいるので植物が安心して育つのです。その状態を大事にしていきます。

そのような自然な土壌にするために、初めに自由炭素資材を混入させます。そうして最初の日に直径6センチの鉄の棒を刺してみると1センチほどしか入りません。ところが一週間後に同じ棒を刺すと、なんと80センチほどもぐります。土壌が微生物の働きでふわふわになるのです。こういう状態であれば、耕運機で土壌をかき混ぜる必要がありません。だから耕す必要もなく、表面も内部も守られた状態にできます。

つぎに、私たちは、網目の細かい赤いネットを張ります。こうしておけば空から飛んできた種は入らないし、虫もやってきません。アブラムシも入り込めません。網目を通るくらい小さな虫もいますが、この色が嫌いで寄ってきません。ネットを敷くだけで無農薬、無肥料の野菜ができます。

こうやって、耕さない、しゃがまない、草刈りもしない、虫も来ない、動物の害もない農業ができ、とても楽です。無農薬、無肥料の安全で質のいい野菜がたくさんできます。

天候に左右されることは一切問題なく、安定した収入が得られます。私たちの場合は、一つの畝から年4回は収穫しています。しかも朝採り、夕採りです。

先ほどの岐阜県の荒れた土地相談をされた70代の女性は29日目から売り上げを発生させました。以来ずっと資金ゼロで売り上げています。青森県の70代後半の女性は、数年前から始めて売り上げが年700万円です。今はそういう時代なのです。

本当の使命に気づくために

最初は皆さん、「売るなんてとんでもない」と言います。それでも少しずつ売っていくうちに生き生きしてくるんです。他者貢献を実感し、生きがいを感じるようになってくるからです。老人介護施設や老人ホームなど空っぽになりますよ。人生は70歳過ぎてからが本番ですから。年金や子どもたちを頼って不安な老後を過ごす時代は終わりにしましょう。

野菜の値段も自分で決めて、包装も自分でして、直売所で売るのです。値段も自分で決められないような仕組みではまるで奴隷じゃないですか。ずっとそうだから不思議に思わなくなってしまうけど、視点をちょっと変えるだけで目の前の世界はガラリと変わります。

良心にしたがって生きるということは、生命エネルギーが降りてきている状態のことです。量子エネルギーの世界です。苦労しないといけないことなんてありません。楽して、感動して、自由な状態で社会に貢献できるのです。

若い人にも同じことが言えます。社会人になったらサラリーマンになるのが普通という流れは最近のことで、その前は、ほとんどが先祖の仕事を引き継ぐ自営業でした。自分の稼ぎからいろいろ引かれる奴隷のような状態から、何にいくら支払い、何をしていくか自分で決めていく、「依存」から「主体」者になる時期がきているのではないでしょうか。

日本は、いま大きなターニングポイントに来ています。意識を変えて、依存から自立への道にそれぞれが進む時期に来ているのだと思います。

ケビンより

大下さんは、日本の食料自給率の低いことを危惧し、もう20年以上にわたって農業に携わってこられました。私たちが本当の意味で自立し、生きがいを感じて使命に気づく時代のための準備をいままでされてきたのです。大きな視野で、世界全体を見通す新しい時代がいよいよ始まるとおっしゃっています。講演のお話を聞いて、会場でも皆さんの意識が変わりました。興味のある方はぜひ大下さんのファームを見学してみてください。

 

「いやしの村だより」2019年3月号掲載