まだアレルギー知識が乏しい時代に、「どんな子にも美味しく食べてほしい」という思いから生まれた1枚のビスケットが、体質改善を促すことで、今では多くの人の希望になっている辻安全食品。
その二代目社長の辻氏は「実は元不良だったんです」と気さくに話される一面を持ちながら、生命科学に対する深い知識と熱い思いを語ってくださいました。

食と腸内環境を整えることで
諦めていた病気が改善される

対談:辻 幸一郎氏×中西研二

辻幸一郎(つじ・こういちろう)●辻安全食品株式会社 代表取締役社長。大学卒業後、医療機器商社で8年間、営業を担当。
その後、辻安全食品に入社し営業から商品企画、経営管理、大学・専門学校その他各種セミナーの講師など、幅広く活動。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来24年間で21万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

どの子にも美味しいお菓子を

中西 アレルギー対応食品専門の会社というのは珍しいですね。

 命に関わることなので基準がとても厳しいから、誰もやりたがらないのでしょうね。1トンのパンの中に1グラムでも小麦粉が混入してはいけない世界です。例えばJALやANAなどの航空会社のアレルギー対応の機内食も提供していますが、もし地上1万メートルの上空で誤飲・誤食が起きたら取り返しがつきません。だから製造にはとても神経を使います。

中西 創業のきっかけは、なにかあったのですか?

 皮膚科や小児科の医師が「どうやらこういう食品を摂るとアレルギーがひどくなるようだ」と言い始めた頃です。当時、父が自然食品のお店をやっていたことで、父に卵や小麦粉などのアレルゲンの食品を抜いたお菓子を作ってほしいと頼まれてビスケットを作ったのが始まりです。でも当時はまだ予防という意識が低く、アレルギー症にはステロイドを使うしかないと思われていた時代だったので、食事でアトピー症状が改善するなど疑問視されていました。それでも良くなっていく人たちが購入し続けてくれて、だんだん広まっていきました。

中西 子どもは甘いお菓子が好きですからね。食事制限がある子どもたちにビスケットを作り続けてくれたことが、どれほどありがたかったでしょう。

辻社長の代になって、アレルギー対応食品だけでなく、食事療法による体質改善の可能性を広げた取り組みも始めたんですよね?

 はい。アレルギーが発症しない食品のことを「除去食」といいますが、ただ避けるだけではなく、ここ10年くらいは腸内環境を整えながら、その人にあった食事を提案し、病気や体質を改善していく方向に取り組んできました。

中西 それはありがたいです。いまアレルギーのある人がとても増えていますから。

 もうパンデミック(感染症の大流行)状態と言っていいくらい爆発的に増えています。詳しく検査したら、アレルギーのまったくない人は200人に1人くらいしかいませんよ。

中西 そんなに? 自分がアレルギーだって知らないでいる人も多そうですね。

 私も卵アレルギーですが、調べるまでわかりませんでした。普通、病院で検査するアレルギー検査はIGEと呼ばれるもので、命に関わるような急激に症状が出る食品を調べるものです。でも、実はじわじわと体に炎症を起こすアレルギーというのもあって、IGGというその検査をして私に卵アレルギーがあるということがわかりました。それからは卵を抜いた食事をしていますが、体重も下がり、倦怠感もなくなりました。それまではちょっとでも食べると頭痛がし、扁桃腺がはれたりして、すぐ体に悪い影響が出ましたね。

「諦めない」思いが、いい結果に

中西 いまはアレルギーだけでなく、発達障害などの改善にも食事は有効との話ですが、その辺りを詳しく教えていただけませんか?

 ここ数年はダウン症や自閉症、発達障害児のサポート事業もしています。

きっかけはアメリカ大使館に呼ばれて、「小麦に代わる第3の穀物(グレインソルダム)を作ったから、それでパンやクッキーなどを作ってくれないか」と頼まれたことです。小麦に含まれるグルテン、カゼインを抜いた食品がアレルギーだけでなく、自閉症やダウン症の人たちにも有効で、外国ではそういった食事で改善に取り組んでいることを初めて知ったのです。私たちが作ったクッキーのラベルには「自閉症用ビスケット」と書かれていました。

中西 日本では、発達障害は治らないと思われていますよね。

辻 海外では「治る」と思われているのです。日本では厚生労働省でも「治らない」という位置づけにされていますが、実際に私が関わってきた子どもたちは改善されてきています。

例えば胎児のときに、医師から「一生おむつをはずせないし、笑うことはないだろう」と言われていた子がいました。初めて会ったときは3歳でしたが、話さない、笑わない、暴れるといったお子さんで、お母さんは毎晩泣いていました。それでも毎日、検査に基づいた食事を作り続けて、4歳で「ママ」「パパ」と言えるようになったのです。その後5歳で普通幼稚園に通うことができ、いまはIQテストで同年齢以上の数値を出しています。

中西 すごい! 制限のある食事を作るのも大変なのに、諦めないで作り続けたお母さんもすごいですね。

 そうなんです。良くなっていくお子さんをみていると、お母さんの意識がすごく重要だとわかりました。誰でも医師に一生治らないと言われたら諦めちゃいますね。だから今までの実例をすべて見せて、「良くなる」ということを伝えています。

中西 その子にあった食事内容や食事方法を提案されているんですよね。

辻 そうです。例えばよくテレビなどで「野菜から先に食べるのが健康にいい」などと言われていますが、人によってはそれがよくない場合もあります。どういう順番で食べたらいいのか実際のところ検査して調べてみないとわからないのです。私たちがしていることは、まずそのお子さんの現在の状況を調べるためにいろいろな検査をして、それに基づいて方向性を示してあげることなのです。

常識が変わるのは、事実が積み重なった時

中西 それは自閉症やアレルギーだけでなく、例えばガンなどにも有効ですよね。

 ガンにも有効ですし、ダイエットにもいいですよ。結局すべて体を作るのは食事ですから。今まで食事によって起こしていた体の中のさまざまな不具合を解消し、機能的に働くようにすれば体全体が健康になります。さらに最近は腸内環境を良くするいろいろな手法があますから、それを一緒にやっていくと、よりスピードアップして良くなっていきます。

小腸の機能がよくないと、大きなタンパク質がそのまま血管に入って血液がドロドロになってしまうのです。アトピーの人などは皮膚の一番弱いところからそのタンパク質が排出され、そこがかぶれてしまったり、脳に回ったら、そこで炎症を起こしたりするのです。だから食事内容と腸内環境の改善は一緒にやっていきます。

中西 辻社長のされていることは、「治らない」と言われているような症状にも、ちゃんとエビデンス(根拠)を持って取り組んでいらっしゃる。そこが素晴らしいですね。

 常識が変わるのがいつかというと、事実が積み重なった時だと思うのです。改善されていく事実がたくさん積み重なった時に、この食事療法が常識として認知されるのかもしれません。それまで自分が信じていることを続けるだけです。

中西 私たちも応援します。今日はお忙しいところありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2017年12月号掲載