欧州では代替医療として民間に根付いているホメオパシー。日本ホメオパシー医学会認定医として、長年活躍してこられた比嘉眞紗子氏が、昨年、医師が常駐する「まごころ診療所」をオープンしました。薬や予防接種に頼らず、患者一人ひとりの立場に沿った、新しい形の診療所への思いを語っていただきました。
既自分を信じ、
体が求めるものに
気づいていく
対談:比嘉眞紗子氏×中西研二
比嘉眞紗子(ひが・まさこ)●自然派倶楽部ママス代表。ホメオパスとして活動するかたわら、2018年10月より「薬を使わない診療所」として、愛知県内にまごころ診療所設立。
名古屋まごころ診療所HP https://magocoro.net
中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来25年間で22万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。
診断書が必要な世の中にあわせて
中西 いままでホメオパシーをずっと実践されてきましたが、昨年の10月から医師も常駐する「まごころ診療所」を立ち上げられましたね。それにはどういう目的があったのですか?
比嘉 この診療所の構想はずっと温めてきたものです。ホメオパシーを続けている間に、いまの社会の仕組みでは病院が発行する診断書が必要であることを痛感し、その状況に対応していこうと形にしたのがこの診療所。
例えば牛乳を飲むと必ず湿疹が出るので、学校給食の牛乳を飲ませたくないと思っていても、診断書がないと止めることができません。病名が必要なのですね。だから、診断書をもらうために病院に行くことになるのです。
ホメオパシーはいま出ている症状に対応していくので、病名をつける必要がないのですが、お母さんたちは仕方なく病院を訪れ、そこで投薬を勧められたり、検査をしたり、または「どうしてここまでほっといたのだ」などと叱られることもあるのですね。そうしていくうちに自分自身を責め、どうしたらいいのか迷っているという姿をたくさん見てきました。
それで、世の中がそういう診断書などの公的なものを求めているのなら、私たちの方針をとりつつ、診断書が出せるクリニックが必要だと考えていました。
中西 なるほど。「まごころ診療所」の一番の特長は、通常の病院に疑問を抱いている方たちにとって、病院にしかできない公的なこともできる点なのですね。
比嘉 そうですね。薬の副作用が怖いと思っていても、ホメオパシーまで辿り着ける人はほんのわずかです。でもホメオパシーをよく知らなくても、いまの病院のあり方に「どこかおかしい」と感じている人たちが集まる場を作って、さらにもう少し深い話ができていけたらと思っています。
「自分で選択する」という意識改革へ
中西 それから予防接種の問題もありますね。受けさせたくないと思っていても、世の中の雰囲気が強制させているところがありますが、その辺りはどうですか?
比嘉 予防接種に関しては、受ける必要がないと考えています。科学というのはいろいろ間違うものですが、体が間違うことは一切ありません。自分の中にある自己治癒力を信じるということです。でも予防接種に疑問を抱いていても、受けないとどうなるのかわからないから不安になりますよね。そういうことを知ってもらうためのセミナーを開き、啓蒙活動をしています。ほかにも、例えば、予防接種を受けてから、いろいろな弊害を知って後悔しているお母さん方に、ホメオパシーを使って改善していく方法を提示したりすることもあります。
中西 それはとても大事ですね。これからの医療は、患者一人ひとりが選択していく意思を持ってほしいですね。抗がん剤に関してもそうです。体にとって、とても辛いものですから、どういうものであるかきちんと理解してから選択してほしいです。
いずれにせよ、お医者さんも治す思いでしているわけで、責めるのはよくないのですが、ほかにもっといい方法がないか一緒に考えていかないといけませんね。
比嘉 そうですね。やはり情報を提供することだと思います。そしてそれを聞いた上で、結局、選ぶのは自分だということです。どちらが正解ではなく、自分が選んだほうがベストなのです。体験をしてあらためてわかることもありますから。
よりいいものをと誰も求めますが、体験をして初めていいものを選べることもあります。
例えば、生後すぐにアトピーの症状が出てきた子の話です。ホメオパシーは、体の毒素を外に出すので、最初は一時的に悪化しているように見えるんですね。そうなったときに、お母さんはこれで頑張りたいと思っていたのですが、夫や周囲から「病院に行け」と散々言われたので挫くじけてしまう気持ちが生まれたのです。それで、約一年病院に通って、ステロイド剤を塗り続けていたけど、やはりすぐに元に戻ってしまう。それで、ようやく周囲も納得したので、お母さんが本腰を入れてホメオパシーに向かうことができたのです。いまその子はとてもきれいになっています。
だから一度体験するというのはとても大事だと思います。
中西 そうですか! よかったねぇ。
自分の感覚を信じていく世界へ
中西 自己治癒力が最終的には病気を治すものだと思いますけど、いつの間にか、人間誰しもに備わっているその無限の潜在力のことを忘れてしまっていますね。だから自己治癒力なんて本当にあるのかというふうに、自分を信じられなくなってきているのです。
比嘉 本当にそうです。結局、頭で考えるようになってしまったのです。だけど本来は、口に入れたときに不快に感じたりして、これがいいものかどうかを体に教えてもらう力が備わっているのです。例えば昔は魚の焼けた頃合いは「美味しい」と感じる匂いで判断していましたよね。だけどいまは「何分で焼く」などのレシピを見て頭で判断していることが多くなりました。
このように、あらゆることが勘や経験ではなく、頭で理解するようになってしまい自分を信じることが減ってきてしまいました。もっと自分の感覚を信頼できたらいいと思うのですが。
中西 生活環境がそういう感覚を失わせていますね。もったいないです。
比嘉 ケビンのヒーリングの力も同じだと思います。それは本来誰もが持っている力なのに、そんな力は自分にはないと思った瞬間に自ら封印してしまっているんだと思います。
中西 子どもの頃って、不思議なものが見えたりするじゃないですか。それを親に伝え、「変なこと言うな」と否定された瞬間から見えなくなるんですよ。直観力も同じで、権威あるところから「あり得ない」と言われると、途端にあり得なくなってしまう。
比嘉 そう思います。ここの診療所は、自分で感じるよりも診断結果がほしいと思う方々と、もっと本来の自分の潜在力を信じて判断したいと思う方々の仲介になればいいと思っているのです。
最初はなんとなくでいいので、少しずつ自分を信じることができてきて、最終的に、この診療所さえもいらない状態が一番いいと思っています。
それからケビンのやってこられたヒーリングや祈りの力ですが、そういう力の相互作用というのはすごく大きいと思うので、今後取り入れていこうと思っています。
中西 それはいいですね。この名古屋にも素晴らしいヒーラーがたくさん誕生していますので頼もしいと思いますよ。
今日はお忙しいところ、ありがとうございました。
(合掌)