日本人が培ってきた食事や生活の知恵を伝えるために、全国で講演会や料理教室を開く若杉さん。本はすぐに増刷されるほどの人気で、多くのファンを持つ若杉さんですが、ご本人は「全然たいしたことありません」「自然体ですから」といたって等身大。素朴で、知恵があり、時に厳しく、時に優しく。まさに日本の「おばあちゃん」でした。

食事を通して、
目に見えない世界と
見える世界の成り立ちを伝える

対談:若杉友子氏×中西研二

若杉友子(わかすぎ・ともこ)●1937年大分県生まれ。静岡市で、川の水の汚れを減らす石けん運動などのボランティア活動を行うなかで、自然の野草のチカラに着目。食養を世に広めた桜沢如一の教えを学び、1989年、静岡市内に「命と暮らしを考える店・若杉」をオープン。1995年、自給自足の生活を実践すべく、京都府綾部市の上林地区に移住。現在は故郷の大分県に移り、陰陽の考え方にもとづいた野草料理と、日本の気候風土に根ざした知恵を伝え続けている。著書に「野草の力をいただいて~若杉ばあちゃん食養のおしえ」(五月書房)、「体温を上げる料理教室」(致知出版社)、「これを食べれば医者はいらない」(祥伝社)、「子宮を温める健康法」、「長生きしたけりゃ肉はたべるな」(幻冬舎)など多数。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来24年間で21万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。
長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞
著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

手探りで始めた料理教室が原点

中西 最近は、ずっと食養の話や料理教室で全国を飛び回っていらっしゃるそうですね。

若杉 おかげさまで30 年以上やっていますが、疲れもストレスもなく、自然体で楽しんでいます。

中西 全国にファンを持つ若杉ばあちゃんですが、こういうことを始めるきっかけは何だったのですか?

若杉 私の主人は「女は働かないで家庭を守るもの」という昔気質の人間だったので、私は主婦の傍ら、ボランティア活動をしていました。

そういう時に、マクロビオティックの創始者と言われる桜沢如一さんの本を読んだのです。この出会いが人生の一つの節目でした。

いま言われているマクロビオティックは美容とか病気を治すように思われていますが、本来の食養は「自然と共に生きる」という、日本人が育んできた生活の知恵なのです。

桜沢先生のその教えにとても感銘を受けて、ボランティア活動をしながら勉強をしました。そして何もわからない状態で、「命と暮らしを考える店・若杉」という料理教室をオープンしたのです。それがスタートでしたね。

中西 そうですか。ご主人は若杉さんの食事を食べて病気を治したんですよね。

若杉 主人は頑固者でしたが、余命2カ月と言われて、子どもたちが説得したのです。「お母ちゃんがやっていることは間違っていないから」と勧められて渋々と始めたのです。それで元気になりましたね。食事を変えて病気がよくなったという話はよく聞きます。

押し付けるのではなく、「やるのはあなた」

中西 いまガンになる人がけっこういますが、そういう時も基本の食事でいいのですか?

若杉 深刻な状態だと言われて、その後元気になった人に多く会いましたが、私の本を読んで、食べてはいけないもの、いいものというのを書いてある通りに実践しているそうです。

ガンに限らず、病気の人は玄米を食べなさいと言っています。

やはり体を治すには玄米です。日本人にとってお米は単なる食料ではありません。日本の精神を作り、神代の時代から続く命のルーツといってもいいくらいです。食物には陰陽の二つの働きがあり、中庸にする大事な食事なんですね。

中西 先日対談でお会いした脳外科医の篠浦先生(2017年5月号)も、玄米菜食が体にいいのは科学的にも認められているとおっしゃっていました。

ガンになって特に食べてはいけない食べ物とは、どんなものですか?

若杉 やはり砂糖系統とか動物性タンパク質です。いわゆる肉、魚、卵、牛乳。本当に治したいなら食べないでやめたほうがいいよと言っています。

日本人の腸は西洋人の腸より長く、肉がこの長い腸に入るとなかなか消化ができず、腸内腐敗が起きるのです。それで多くの毒素が発生し、腸内でできた毒素は血液を汚し、全身に回って肺ガンや大腸ガンなどを引き起こします。「府(内臓)」の中に「肉」が入って「腐」という漢字になります。言葉には意味があるのです。

中西 桜沢先生は「よく噛みなさい」とも言っていましたが、それはどうですか。

若杉 先生は100回は噛みなさいと言っていましたが、忙しい現代人にとって、毎回100回噛むことは大変ですよ。

私は人種にかかわらず人の歯は32本あるので、せめて32回は噛むようにしようと言っています。どの国の人にも「自分の歯の数だけ噛むように」と言えるでしょう。ちょっと優しすぎますけどね。

中西 できなきゃ意味がないですからね。32回ならできるかなって気がします。

若杉 そうそう。「それならできるわ」って思ってくれればいいのです。大事なことはすべてあなた自身にあるのですから、それを理解してくれる人が病気も治していますね。

エアコンも冷蔵庫もない生活

「若杉友子の毒消し料理」若杉友子 著/パルコ刊

「若杉友子の毒消し料理」若杉友子 著/パルコ刊

中西 若杉さんの料理は昔からの伝統料理といった感じで、いまの時代では贅沢な食事になりますね。

若杉 本当の粗食です。貧乏な時代の延長で。でも、いまの文明は食べすぎですね。

中西 現代の子どもたちも甘いものをたくさん食べていますが、体を壊さないのかと心配になります。

若杉 そうですね。いまはお金さえ出せば買えないものはありませんから、こうなってくると世の中面白くないですよ。

やはり工夫して作るというのが人間らしい気がしますね。でも、そういうことが今はバカにされる時代です。何でも手に入る世の中のほうが怖いと思いますが。

中西 ほとんど電気を使わない生活をしていると聞きましたが。

若杉 料理は火鉢や七輪などで火をおこし、暖をとりたい時は豆炭コタツを使い、エアコンも冷蔵庫もない生活をしています。もうこういう生活に慣れていますから。

食事は穀物と野菜の摘み草生活です。

やはり自然の一部である人間として、厳しい自然の中で育った野菜をいただくことが摂理だと思うのです。

水耕栽培とか、虫がいない無菌栽培など、どこかおかしいと思う感性を持ってもらいたいですね。

中西 本当にそう思います。いつまでもお元気でいられる若杉さんを見ていると、みんなそう思うでしょう。

若杉 私は年齢で生きていませんからね。聞かれたら80歳と答えますが、私の中ではいつも心は楽しくて青春真っ盛りです。

だから全国を飛び回っていても全然大変だなんて思いません。講演会でも本作りでも、会場に来ている人の顔を見て「今日はこんな話をしよう」と自然に決めるのです。ただ天から降りてくることを伝えているのです。だから緊張もしないし、楽しいです。

中西 わかります。私も全国を遊びながら回っている感じです。

若杉 中西さんは見えない世界のことをされていますが、見えない世界は、目に見えることよりも本当は大事ですよね。

中西 そう思います。私のヒーリングでガンが突然消えるということはありますが、それは私の力ではなく、見えない世界の力です。

若杉 一人ひとりが神の子ですから、神殿を持っていると思うのです。神殿を持っているからこそ、奇跡が起きると思うのです。

私は食べ物のことを教えて全国を回っていますが、伝えるのは食べ物のことだけじゃないのです。目に見えない世界と見える世界の成り立ちの中で、我々は生かされている、そういうことを伝えたいのです。

中西 よくわかります。今日は、若杉ばあちゃんに元気をもらいました! お忙しいところありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2017年8月号掲載