「JOYヒーリングの会」を主宰し、ヒーラー、ワンネストレーナーとして活躍中の中西研二さん。
1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来20万人を超える人々を癒やしてきた中西さんが語る本当の愛、そして覚醒とは? また、インドの聖者、カルキ・バガヴァンとの出会い、アウェイクニングする人々が変えていくワンネスの時代について伺った。

愛は体験できても、
語るものではない

中西研二インタビュー
取材・文:西本啓子/写真:加藤ゆみ子
スターピープル Vol.46より

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来24年間で21万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

人間は、エゴの塊からできていると気づくこと

――中西さんにとっての“愛”とは?

中西 愛という言葉を私たちは簡単に口にしますが、まず、私たちはそもそも“愛”などもっていないということに気づくべきです。実は、私たちが愛だと思い込んでいるものは、争いや奪い合いのため、エゴの現れとしての愛なのです。そして、愛があるという錯覚が、この人間社会を混乱に陥らせているのです。実は、こうして話すこともマインド、つまり思考から来るものであり、愛から来るものではありません。ただし、私たちはマインドを使うことでしか“体験”できないのも確かです。要するに、この思考や肉体、存在そのもの、そして認識できるものすべてが、マインドから成っているのです。

たとえば、領土問題にしてもそれぞれの国の言い分がありますが、どちらもエゴから主張しているので、どちらが正しいわけでもなく、結局はお互いのマインドで裁き合っているだけなのです。そして、裁きに正義はありません。

ですから、愛をテーマにしたところで、愛を語れる人なんていないのです。なぜならば、愛を語った瞬間にエゴになるからです。愛は体験できても、語るものではありません。まず最初に必要なことは、人間という存在は、エゴの塊からできているということに気づくことです。

――そのような考えに至った経緯とは?

中西 学生運動に明け暮れていた70年代、私がテーマにしていたのは世界平和でした。当時、ベトナム戦争に荷担する日本に反対して闘ったものの、結果的にあとに残ったのは、敗北感と傷ついた仲間たちだけ。その時に正義とは何だろう、また、平和とは闘って手に入れるものなのだろうか? と考え、結局はどんな主義主張もエゴから成るものであり、自分たちができることは何もないということに気づいたのです。なぜならば、エゴは決してなくせないからです。

その後、精神世界の本も読み尽くしましたが、そこにあるのは知識だけで、語られていることは、結局はエゴなのです。それでも、自分の中で答えを求めていろいろな手法も試しましたが、悟りを得るには一生を費やすほどの努力が必要なのではないかと途方に暮れていた時に、インドの聖者カルキ・バガヴァンに出会いました。そして、彼からも「あなたには無理です」と言われてしまったのです。さらには、「覚醒とは与えられるものであり、努力で得られるものではない」ということと、脳にエネルギー的な手術を行うことで覚醒が得られると聞き、驚愕しました。聖なる存在がそれを行うというのです。そんな他力本願的なことでいいのだろうかと思いましたが、よく考えてみれば、お釈迦さまもキリストも覚醒は与えられています。あの弘法大師も、金星が口の中に飛び込んできたと言われています。いわば、光は与えられるもの、ということなのです。

いままで多くの人が、静寂の中に身を置き、瞑想をしながら覚醒を待ち続けてきました。けれども、なかなかそれはやって来なかったのです。バガヴァンは、「もう時間がありません。私があなたに覚醒を与えます」とディクシャを授けてくれました。それから9年、いまでは私もディクシャを与える側となりました。悩みを抱えていた人たちがディクシャを受けて、「まだ悩みはあるが、幸せな気持ちがこみ上げてくる」「家族が優しくなった」「争いがなくなった」と口ぐちにおっしゃいます。こうした感想を聞くと、少なくともバガヴァンの言う目覚め、いわゆる“アウェイクニング”は起きているのだと、また“与えられるもの”であることが確信できるのです。

――覚醒への道は苦行ではなく他力本願でいいと聞くと、何だか楽になりますね。

中西 他力本願でいいというよりも、他力本願でしかないのです(笑)。けれども、バガヴァンいわく、アウェイクニングとは、100階建てのビルのまだ1階にいるようなもの。そこから徐々に上の階に上がって行くものだそうです。そして、上がっていくのは努力ではなく、時期が来たら自動的に上がるものであるとのこと。レベルで言えば、50階でやっと思考に惑わされないレベル、70階で完全に思考が静止できるレベル、そして95階でインドの偉大なる聖者ラマナ・マハリシのレベル、100階でお釈迦さまやキリストのレベルに到達するとのことです。これからは、そこに全員が上がっていくことになるそうです。愛を語るなら、まずはビルの入り口に行かなくてはなりません。

日本人からワンネスの動きが始まる

――その“悟りのビル”へ辿り着くには、どうしたらいいのですか?

中西 ディクシャを受けるのもひとつの方法だと思いますし、いろいろな方法があるでしょう。けれども、基本的には、やはり苦しみ抜いた人がそこに辿り着けるのだと思います。たとえば、富を追い求めて成功し続けている人に、苦しみはあるでしょうか。また、結婚したばかりで幸せの頂点にいる人はどうでしょうか。苦しみなどないはずです。しかし、富は人を豊かにできないし、どんなに幸せを味わっていても、その先には苦しみが待っているもの。巨万の富を得た結果、人生を狂わせて空しさを味わったり、結婚の後には出産、子どもの教育、就職と立て続けに問題に直面するのが現実です。人は、夢や希望が叶った先にある苦しみを経て、やっとビルの1階に辿り着けるのです。苦しみさえも神さまからのプレゼントなんですよ。

でも、苦しまなくてはいけないと言っているのではありません。なぜならば、人はすでに過去を清算するために、輪廻転生を繰り返しながらもう十分苦しんできているのです。すべての人が、すでに悟りのビルに辿り着けるパスポートを持っているのです。

――バガヴァンさんは、7万人が覚醒すれば世界は変わるとおっしゃっていますが、いまはどれくらいの人が覚醒しているのですか。

中西 現在、すでに100万人を超えました。覚醒した人と道ですれ違うだけでも、高いエネルギーの波動が周囲に伝播していきますが、この勢いがいま、さらに加速しています。この変化のエネルギーこそが愛、そしていまという時代の全てを作り出しているものが、愛と呼べるのかもしれません。

アウェイクニングした人同士だと、議論をしても大きな問題や争い事には発展しません。いま、このような人々が増えていることで、世の中全体が優しくなりつつあるんですよ。だから、世の権力者たちの思惑がうまく働かなくなり、あらゆるところでほころびが起きはじめています。こうした変化が、争いのなかからではなく、平和のなかで広がっていることが大切なのです。また、人類のあらゆるDNAが入っている日本人からこうしたワンネスの動きが始まることで、世界にも広がっていくのです。私はこれから、その大きな渦の中心で、変わりゆく世界を見守っていきたいと思います。

(スターピープル Vol.46より転載)