2008年2月号
地球環境の
危機を回避するカギは、
一人ひとりの内側の「幸せ」
NPO法人JOYヒーリングの会理事長・ヒーラー
中西研二(ケビン)
「そんなの関係ねぇ」?
テレビなどマスコミ関係者によれば「そんなの関係ねぇ」という言葉が、最も流行ったんだそうです。ヒーリング会場にきてくださる小学校の先生が嘆いていました。学校生活上のことで、何かを注意しても、みんなですぐ「そんなの関係ねぇ」って動作付きでするんだそうです。学校によっては、その言葉を使用禁止にした所もあるようです。
流行語が何であれ、それをとやかく言ったところで仕方ありません。まして子どもたちは、大人たちが使っている言葉から教えられて使っているだけですから。今回、この言葉をあえて取り上げたのは、どうやら、「そんなの関係ねぇ」と、誰もが言えない出来事が進行しているからです。それは、地球温暖化をはじめとした地球レベルの環境危機です。今年の正月ほど、テレビで放映されたことは、かつてありませんでした。
しかし、北極の氷が溶けたり、グリーンランドやヒマラヤ、アルプスなどの万年氷河が急速に減少している姿を見せられるだけで、具体的な対策が提案されているわけではありません。もちろん京都議定書に代表されるようなCO2削減のための努力を世界レベルで推進しようとしていることはありますが、たとえ各国の足並みが揃ったとしても、有効な手段だとは思えません。むしろ、絶望的な感じさえします。大自然の営みの前では、人類など赤子同然で、その叡智など到底通用しそうにありません。
果たしてそうでしょうか? 先月号のレン博士との対談記事を思い出してください。博士によれば、「この世の出来事は100%自己責任、答えはすべて内側にある」と言っています。つまり、今、目の前でおきていることは、全人類の内側の風景の現れだということです。精神世界の言葉でこの世を表現すれば「現象界」と言います。この言葉を説明すれば「結果」の世界だということです。ということは、私たちの内側が「原因」の世界ということになります。
ここで流行語となった「そんなの関係ねぇ」という言葉を思い浮かべてみてください。もし私たち人類が、この言葉に象徴される心象風景だったとすれば、その結果として表現される「現象界」で、地球規模の環境危機になったとしても、当然の帰結だということです。つまり、この二つの事柄は、一見関係なく感じますが、実は「原因と結果」の因果律だということになります。
それならば、まったくの絶望というわけではありません。未来への希望も見えてきます。「私たちには何もできない」どころか、できることがあるということです。
地球環境の危機が教えてくれたこと
では何ができるのでしょう。実は、すごくシンプルで当たり前のことをするだけなんです。このコーナーで何度もお話しした「人間関係を整える」ということです。読者の中には、またそれなの、と思われる方もおいでになることでしょう。しかし、考えてみてください。私たちは人間関係以外のことを、この人生の中でほとんどしていません。あなたの人生の記憶の大半を占めるのが人間関係なんです。例えば、人生の中で感動した出来事を思い浮かべてみてください。元旦に山に登って初日の出を拝んだとします。確かに感動的な風景の記憶がよみがえってくるでしょう。しかし、それだって、誰と行ったのか、そのときどんな心境だったのか、という背景が重要な要因になっていることを否定する人はいないでしょう。
もし、私たちの人生において人間関係がすべて整っていれば、私たちは「幸せ」です。仕事がどんなに忙しく順調に業績を伸ばしていたとしても、家庭でのトラブルや、職場の人間関係にイライラしていては、あなたは「不幸」です。人生における悲しみや苦しみは、すべて人間関係からやって来ます。
どうやら結論が見えてきました。私たちは外側の刺激があまりにも強烈すぎるため、内側の世界の現れであることを忘れてしまいがちです。ましてや地球温暖化など、あまりに手に負えないほどのスケールになれば「自分にできることはない」と思ってしまいます。事実は、そうではなく、一人ひとりの人類の集合意識が創り出した風景にすぎません。もし、それを変えたければ、内側が「幸せ」に満ちること以外にありません。
内側を充実させるものは、喜びにあふれた人間関係しかありません。人間関係の基本は、両親との関係です。人生の中での体験に「良い」も「悪い」もありません。「正しい」「間違っている」もないのです。すべては必然の流れで起こっていることばかりです。それを「いい悪い」「正しい間違っている」で裁いてしまうから、とらわれ、こだわりを作り出してしまいます。すべては体験ですから、とことん味わい尽くせばいいのです。そうすれば、人生のすべての体験から喜びが湧いてくるようにやって来ます。
地球環境の危機は、とても大切なことを教えてくれています。私たちが何のためにこの世にやって来たのか、ということです。皆さんはどんなときにうれしいとか楽しいと思いますか? 美味しいものを食べたときの後には太りすぎが心配になります。大金を手にしたら、盗まれないかと心配になります。本当の喜びは、あなたが誰かの役に立ったと感じることではありませんか? 何かのお役に立てることこそ、この人生の生きがいなんですね。もし、すべての人がこのことに気づけば、地球も宇宙も至福に満ちることでしょう。
(合掌)