「美と健康」をテーマに、さまざまな商品や情報を提供し続けている株式会社トータルヘルスデザイン。創業者の近藤洋一氏は、オカルトと一括りに押しやられていたスピリチュアルの分野を、より一般的に広めることに尽力されてきました。今年から代表取締役に就任されたのが、近藤太郎氏。いままでの礎をもとに、新社長がどんな風を吹き入れてくれるのか、「いやしの村」としても大いに楽しみです!

次の世代へつなぐ
新しい社会の実現へ

対談:近藤太郎氏×中西研二

近藤太郎(こんどう・たろう)●1975年生まれ。元アマチュアボクシング日本代表。ボクシングの現役時代に「気」の重要性に気づき、独学で勉強。その後、株式会社 Total health designで「心と体と宇宙を調和させる」バンクシアフィットネスの講師をし、2018年4月に株式会社 Total health designの代表取締役に就任。

中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来25年間で22万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。

ボクシングから気の流れを学ぶ

中西 今年の4月に代表取締役社長に就任されましたが、それまでは何をされていたのですか?

近藤 学生時代からボクシングをしていたので、大学でコーチをしたり、ジムを経営したりしていました。スポーツの分野でも、トップレベルになると気の力は非常に重要になります。例えばロンドンオリンピックで金メダルをとった後輩の村田諒太選手が「しっかりと挨拶をしてから構えると、明らかにみなぎる力が違う。人間には見えない力が多く働いていますね」と話していましたが、相手を敬うことで自分のエネルギーが高まるということを、一流になるほど直感的にわかるのだと思います。そういうこともあって、気についての勉強をしていました。

その後、トータルヘルスデザインで、バンクシアフィットネスを始めることになり、体を調えるという観点からコーチを10年ほど続けています。

中西 それはどういうものなのですか?

近藤 体と心と宇宙を結ぶ、すなわち調和のとれた状態にするフィットネスです。気が流れやすくなるために、まず体づくりから始めます。体を調えつつ、気をマスターしていくのです。

中西 面白そうですね。バンクシアの意味は?

近藤 オーストラリアにはバンクシアという堅い殻に包まれた植物が自生しています。オーストラリアは、自然発火による山火事が多いそうで、森林がすっかり燃えつきた後にバンクシアの堅い殻がはじけて種が飛び出し、燃えつきた森に代わって新しい森を再生してくのだそうです。バンクシアの在り方と、今の経済や環境問題、教育など問題だらけの現代を古い森と置き換え、いよいよ新しい森を創っていく必要があると感じ、バンクシアフィットネスと名付けました。

中西 まさにトータルさんのテーマそのものですね。いままでの流れは、近藤社長になっても引き継がれていくのですか?

近藤 創業者である父がずっと言い続けていたことですが、この不透明で多くの問題を抱えた時代の中で、私たちが何を提案できるのか。それが「愛と調和の社会」の実現への芽になるかもしれません。小さな一歩でも、非常に重要になってくると思うのです。その精神を引き継いで、いまの時代に合わせた商品や情報を提供していきます。

中西 その通りだと思います。社長に就任して感じたことはありますか?

近藤 やはり人がすべてだと実感しています。いかにスタッフの能力が発揮しやすい場を整えるか。それが会社自体の成長につながると思っています。今のテーマは「癒やし・成長・笑い」です。そのためには、まず、居心地のいい場づくりだと思います。

中西 確かに京都の本社は、広大な面積と豊かな自然。それに社員が積極的に掃除をされている。すごく気持ちのいい環境でした。

近藤 イヤシロチを意識して場所を決めたと聞いています。イヤシロチとは、神社や森などで感じる清々しい空気、そういういい気が充満している空間のことです。

中西 トータルさんのイヤシロチ計画はとても有名です。

近藤 本格的に着手したのは2001年からで、当時は炭を土地に埋めたり、大変な作業だったのです。それがいまではスプレーを吹きかけるだけとか、コンセントを差し込むだけで場がガラリと変わる画期的なグッズがたくさん増えてきているんですよ。ずっとイヤシロチの事業をしてきましたが、以前なら「そんなに簡単に場の空気が変わるものか?」と怪しむ人がたくさんいたんですね。それが近頃はイヤシロチ自体が理解されるようになり、実際に体験した人はすぐ購入されていきます。

元アマチュアボクシング日本代表の近藤太郎氏。さすがの体型維持です!

元アマチュアボクシング日本代表の近藤太郎氏。さすがの体型維持です!

浸透してきたスピリチュアルの世界

中西 先代の洋一社長はイヤシロチもそうですが、船井幸雄先生とご一緒に、閉ざされた精神世界の分野を一般の人にも広めてくださいました。あの頃は「気」といっても、気功くらいの感覚でしたが、いまはもっと深くなって宇宙を支配している状態は何かというところまで、一般の人の理解も浸透してきたと思うんです。そのあたり、どう思いますか?

近藤 父が創業した頃は「お父さん、変なことやっているけど大丈夫か?」と知り合いに言われたことがありました。本当にあの当時は「気」といったら怪しくて、うさんくさいものだったと思います。

でも、時代は変わってきていると思います。例えば今年はスポーツのパワハラ問題がクローズアップされていましたが、僕たちの時代ではある意味「当たり前」のことでした。でもパワハラやセクハラ、隠ぺいはおかしなことだから、今はその膿(うみ)がでるように表に噴出してきたのだと思います。大きな時代の流れが、本来のあるべき姿に戻しているのだと思います。

中西 本当にそう思います。次にくる時代の準備をしているところのようですよね。

『カンタ! ティモール』という映画はご存じですか? 東ティモールを舞台にしたドキュメンタリー映画なんですが、独立宣言をしたことによって、インドネシア政府から徹底的に虐待されたのです。この映画のすごいところは、その虐待された東ティモールの人々が「うらんじゃいけない。うらんだら平和は来ない」と言って、ひどい扱いを受けながらも本当に楽しそうに過ごしているところに焦点をあてているところなんです。許さないところに平和は来ないんです。時代というのはすべて許すところからしか始まらない。

その監督はまだ三十代の日本人の方なんですが、近藤社長の世代が作っていくこれからの時代は、私たちの世代が体系的に学んだそういう大事なことをすでに知っている状態で、その上で何かまた新しいことが始まる期待感がありますね。

ハンディキャップを生かした社会へ

近藤 次世代に何を残していけばいいのかというのは、特に子どもができてから強く思うようになりました。

娘は脳に少し疾患があって生まれてきました。普通学級だと学力がついていけないので、支援クラスに入っているんですね。いままで障害を持った子と関わることがなかったので、初めて支援クラスでそういう子どもたちと触れ合うことが増えて驚きました。彼らはみな、感情が無垢で、愛しかないように見えるのです。本当に素敵な子どもたちばかりで、自分とは深いレベルで次元が違うと思ったのです。

そういう普通の人にはない能力を持った人々なのに、いまの社会で生きていくにはまだまだ困難なことがたくさんある世の中です。だからそういう子どもたちが、自分の能力を発揮できる場、「愛と調和の世界」をつくるお手伝いが我々の役目だと思います。そうしたら、日本はどんなに素晴らしい国になっていくだろうと思います。

中西 本当にそう思います。トータルヘルスさんと、いやしの村が似ているところは、お互いに利益だけではなく時代を先取りして、豊かな心を育むことに貢献したいという気持ちだと思うのです。

誰でも人生の終わりが来ますから、私たちが作ってきた土台づくりから、さらに次世代に何をバトンタッチしていくのか。それが重要になってきますね。

近藤社長の世代が作っていく時代に、本当にエールを送りたいと思います。

今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

(合掌)

「いやしの村だより」2018年12月号掲載