プラズマ放電に早くから着手し、以来さまざまな研究で成果を挙げてこられた田丸氏が、「すべてはここに通じていた」と言って心血をそそぐプラズマ治療。その熱意挙げての裏には、自身のガン経験だけでなく、福島原発事故から続く日本の放射能の状況がありました。「世界を救う」とケビンに言わしめたプラズマ療法とは?
プラズマでミトコンドリアの活性化
自らの治癒力で癒す
対談:田丸滋氏×中西研二
田丸滋(たまる・しげる)●明治大学工学部工業化学科卒業。グレラン製薬株式会社、東洋インキ製造株式会社を経て、2010年5月、アースフロンティア株式会社代表取締役就任。東京大学大学院工学系研究科研究員兼務。プリント基板用絶縁性レジストコーディング用スプレーコーター、R用乗車券発券機タッチパネル用絶縁性デジタイザー用フィルム、消臭システム「オリソーブ」、自動車用排気ガス除去装置、マイクロガスタービン排気中の未燃焼メタンの分解装置などの開発。2010年、自分の癌の改善をターゲットにした装置「プラズマパルサー」の開発に着手。併せて、自身の癌に施術開始。その後、2012年3月、日本プラズマ療法研究会発足、理事長に就任。
中西研二(なかにし・けんじ)●NPO法人JOYヒーリングの会理事長。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴後、1993年にヒーリング活動を開始。「呼ばれたら全国どこへでも行く」をモットーに行脚を続け、日本全国の各会場で数々の奇跡を起こしています。そして、直接または遠隔によるヒーリングやセミナーを受けた方から多数の感謝の声をいただき、27年間で22万人を超える人々を癒し続けてきました。
ハワイのホ・オポノポノで有名なヒューレン博士が来日された際には、博士のほうから直接会いたいと言われた唯一の日本人が、中西研二だったそうです。2004年からは、ワンネスユニバーシティのコースに招かれ、さらにO&Oアカデミーのコースにも招待されました。その折に伝授された“奇跡の目”で見つめるだけで「奇跡の水」ができ、意図を込めることで「奇跡の塩」ができ、そこからもたくさんの奇跡が起きています。現在は、日本式ヒーリング「愛和道」の完成を目指して、昼夜を問わず活動しています。
著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなぁに?』『あなたはわたしわたしはあなた』(いずれもVOICE 刊)対談集『なんにも、ない。』(ヒカルランド刊)があります。
プラズマを巡る研究
中西 プラズマの研究で、多くの成果を上げられていますが、どういうきっかけでプラズマに注目するようになったのですか?
田丸 最初にプラズマに出合ったのは、印刷インキを製造する会社の研究員として働いていた頃でした。その頃は高周波高電圧放電という言い方でした。表面がツルツルしたものに色をのせるために雷を打つことで、表面をでこぼこにする技術です。それを見たとき、興味がわいてきてプラズマについて調べてみると、一つの技術で物質の「分解」「合成」そして性質を変える「改質」の3つができる可能性があることがわかって、これはすごい技術だなと。それからプラズマのとりこになってしまったんです。
中西 今では空気清浄機などにも使われ有名ですが、当時はまだ未知の領域だったんですね。
田丸 人よりプラズマに着手するのが早かったから、その後いろいろなことでチャンスが巡ってきました。大学病院の麻酔科の先生から「プラズマで亜酸化窒素を無害化できないか」という話を持ちかけられました。いわゆる麻酔で使う笑気ガスのことです。
この亜酸化窒素は二酸化炭素の300倍も温暖化に影響があるのですが、そのガスを吸った患者さんの呼気から空中に放出されるのです。地球温暖化の問題もあって野放しにするわけにいかなかったのですね。プラズマ放電を使えば分解し、無害化できると思いました。そして試作機を作ってそのことを全米麻酔学会で発表することになりました。その論文が通って医学博士号をもらったのです。
中西 それはすごいことですね。確かに素晴らしい発明ですよ。
田丸 その論文が、今度は自動車会社の目に留まりました。その頃、欧州でガソリン自動車の排ガス規制がすごく厳しくなっていたので、その論文を読んでガソリン自動車の排気ガスも同じ酸化窒素類なので分解できるのではないかと思ったようです。その難易度はすごく高かったのですが、それもクリアして欧州でも販売できるようになったのです。
中西 日本の自動車産業にとって、そのクリアは大きいです。華々しい経歴ですね。
田丸 そこまでは肩で風を切っていましたよ。ところが、ガンになりまして……。
中西 ご自身が? そこからが第二幕ですね。
「自分で治す」そうするしかなかった
田丸 今から14年前のことです。ガンとわかったときはステージ4で、すぐに入院、抗がん剤、放射線治療をしないといけないと言われました。でも、それでもあと半年だと余命宣告されました。
日本の医療界では三大療法しか選べないことがわかっていたし、それでも半年だと言われたら、自分でどうにかするしかないなと思いました。
それで僕がしたことは、いままでやってきたプラズマ放電技術を使って自分のガンが少しでも改善できないかということでした。
中西 プラズマ放電でガン治療という方法は、もともと構想があったのですか?
田丸 それはノーベル生理学賞をとった方の論文から得た発想です。その論文は体の中の一酸化窒素のメカニズムを解明し、体に大量に一酸化窒素を取り入れればガンは改善すると書かれてあったのです。僕はそれにすがったのです。
中西 なるほど。一酸化窒素といえば今までやってきた酸化窒素類ですね。
田丸 そうなんです。ただ問題は一酸化窒素をどうやって体に取り込むかなんです。気体の状態だと毒ガスだし、水には溶けない。博士は食事でとるように言われていますけど、それでは大量にはとれない。そこで考えたのはプラズマ放電を使って、一酸化窒素を水に溶かすことです。それが成功し、大量に一酸化窒素が溶けた水を飲み続けて5年延命することができました。
中西 それはすごい! 余命半年と言われていたのに。
田丸 でもガンは大きくならないけど消えはしませんでした。胃ガンもあったので体重も落ち、このままじゃ体力がもたないと思いました。それでプラズマパルサーという装置を作ったのです。今から9年前のことです。動物の検証なんかしている時間がなかったので、自分をモルモットにして検証しました。
中西 それでどうでしたか?
田丸 繰り返し実験すると必ず体温が上がるんです。基礎体温は簡単に上がらないものなのに。基礎体温が上がれば代謝が上がるので、代謝が上がればミトコンドリアの中のATP(アデノシン三リン酸)の量が上がるのではないかと思いました。その量が上がればもともと生命体が持っているアポトーシスを誘発できるのではないかと。
中西 アポトーシスとは?
田丸 わかりやすい例ではオタマジャクシの尾っぽが成長すると縮んでカエルになりますよね。あれもアポトーシス現象で、要はいらない細胞をコントロールして死んでもらうメカニズムのことなのです。
僕らは絶えずガン細胞が発生する生命体なのですが、疾患としてガンになる人とならない人がいますよね。それはなぜかというと、そもそもアポトーシスでいらないガン細胞を消すメカニズムを持っているからなのです。だから一酸化窒素を大量に体に取り入れることができ、アポトーシスを誘発させればガンは治ると思いました。
そしてその実験を始めて4カ月後に検査に行ったら、全部のガンが消えていました。
中西 えー! それはすごい!
田丸 主治医も驚いて免疫細胞を調べました。そしたら細胞年齢が実年齢より10歳若くなっているのです。
中西 それはどうして?
田丸 後からわかったことなのですが、ミトコンドリアの中のATPの量が多いと遺伝子修復酵素が働くそうなのです。遺伝子の壊れた数がいわゆる細胞年齢ですから、ATPによって遺伝子を修復していたのだと思います。
今までの人生の流れがここに向かっている
中西 遺伝子修復酵素が働くというのはすごい。万病に効果があるということですよね。例えば放射能の影響でも。
田丸 そうなんです。私がどうしてこうやってプラズマ装置を日本に広めようと思っているのか。それはガンが治った翌年に福島原発の事故があり、その事故の直後に国から依頼されて1年半福島で現地調査してきた経緯があるからなのです。そこで、日本は放射能にさらされている事実にもっと向き合わないといけないと強く思いました。
放射能を多く受けるとガンになることは誰でも知っていることです。日本に住んでいる限り、そうなる可能性が非常に高いのだから目を背けたり、悲観するのではなく、一人ひとりがガンを予防する努力をするしかないのです。自分のようにガンを治した経験のある人の話なら聞いてもらえるかもしれない。草の根レベルですが、今までの経験の集大成として今の活動があるのだと思っているんです。
中西 ガンだけでなく、ほかの病気にも実際効果があるんですよね。
田丸 放射能が起因して次世代の赤ちゃんの心臓に穴が開くチェルノブイリハートと呼ばれる症状があって、いまそうして生まれてくる赤ちゃんは10人に1人だと言われています。そういう子は手術で穴を塞ぐのですが、プラズマ装置を使って半年で穴が自然と塞がりました。ほかにも慢性疾患や遺伝子疾患など本来治らないと言われている病気も改善して元気になっているのです。
最初は自分のガンを治すために作った装置なのですが、これだけいろいろな症状が改善されると、いったい何が起きているのだろうかと思いました。これは治療器じゃない。要はエネルギー充電器なんです。大量の生命エネルギーを注入して、自分の治癒力で治しているんだと思っています。
中西 これはもう世界を救いますね。
田丸 実は3年前に全米癌学会に呼ばれました。いまアメリカではミトコンドリア活性を利用してガンを治そうという動きがあるのですが、じゃあどうしたらミトコンドリアを活性できるかと、その手段を探していたら、なんと極東の少数のグループが臨床をしている。それで呼ばれ、全米癌学会のノーベル賞と言われるライフタイムアチーブメント賞をいただきました。アメリカの懐の深さはすごいですね。本当に小さなグループにそんな名誉ある賞をくれるのだから。でもそのおかげで世界の7つの大学と共同開発する契約ができました。大学が本腰を入れてきたら本当に世界を救えるかもしれません。
中西 今日は大変ためになるお話をありがとうございました。多くの方々に知ってもらう一助になりたいと思います。
(合掌)