医師の田中氏は、医療の基本姿勢を「現代医療は対処療法で、根本治療にはなり得ない。自然治癒力を引き出して自分で治す」ととらえ、これからの医療のあり方について全国を講演しています。多忙な日々の中、貴重な時間をいただき、お話を伺いました。
医師は脇役。
魂の声を聴いて自分で治す
対談:田中 佳氏×中西研二
田中佳(たなか・よしみ)●東海大学医学部を卒業後、同大学付属病院脳神経外科助手を経て市中病院にて急性期医療に長年携わる。大学在任中に悪性脳腫瘍に関する研究にて医学博士を取得。日本脳神経外科学会認定専門医・日本抗加齢医学会認定専門医。その後、直傳靈氣療法師(じきでんれいきりょうほうし)、整膚師(せいふし)を経て、ホメオパシーの学校に通っている(2018年3月卒業予定)。現在は予防医療と保険診療を かすみがうらクリニック にて行いつつ、全国で健康になるための方法を伝える講演活動に取り組んでいる。
中西研二(なかにし・けんじ)●1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。有限会社いやしの村東京代表取締役。新聞記者、セールスマンなどさまざまな職業を遍歴の後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来24年間で21万人を超える人々を癒し続けている。また、2004年9月にワンネスユニバーシティでワンネスディクシャという手法を学び、以来、この手法を通して、多くの人々がワンネスの体験を得る手助けをしている。2012年2月には、日本人のワンネスメディテーター6名(現在は8名)のうちの一人に選ばれ、以降ますます精力的に活動している。長年のヒーリング活動が評価され、2015年に『東久邇宮記念賞』を、同年『東久邇宮文化褒賞』を受賞。著書に『そのまんまでオッケー!』『悟りってなあに?』『あなたはわたし わたしはあなた』(共にVOICE刊)がある。
医療に対する考え方を変える時代に
中西 予防接種問題など、最近は医療の世界もいろいろ疑問に思うことが多いですが、先生はどういったところに注目していますか?
田中 厳密な意味で現代医療で病気を治すことは不可能なんですね。
問題なのはそのことに気づかない人が多くて、病気になったら病院に行くという図式ができてしまっていて、それに従わない人はおかしな人と思われてしまう風潮があることなのです。
もちろんすべてを否定するわけではなく、例えば早期ガンが発見されてすぐに摘出したいと思えば、手術するのもいいと思います。ただ、ひとつに、その後を再発させない身体作りは病院ではできません。そこで医療とお別れすればいいのに、その後もずっと病院に通い続けるのが当たり前になっています。通院することがむしろ心や体の負担になることもあります。
予防接種も同じように「するのが当たり前」で、受けないと変人だと思われるところがありますが、そういう一般常識をまず疑うことが大事だと思います。実際、製薬会社が提出するワクチンのデータ資料をじっくり読むと、「効果がある」とは書いてありません。効かないわけではないけれど、効いたら「ラッキー」と思えるくらいの効果だと思った方がいいですよ。
中西 病気になったらお医者さんに頼るしかないと思っていますが、そこから考え直さないといけないわけですね。
田中 その発想から見直さないといけないですね。そのような意識づくりが必要だと思いまして、いまは講演会でお話ししたり本や寄稿をしています。特に小さな子どもを持つお母さんたちには切実な問題だと感じています。
中西 子どもが生まれたら、機械的に予防接種を受けにいくといったシステムができていますからね。
田中 予防接種は同意書に署名を求められますからすべて、任意接種なので自分の判断で決めていいのです。
それがおかしいと思っていても、お母さんたちは相談もできず一人で悩んでいる場合が多いので、少しでも多くの人に「当たり前」だと思っていることに疑問を持ってほしいと思っています。
中西 子どもは未来の礎ですからね。まずお母さんたちの意識を変えることが大事ですね。
健康は魂の癒しから
中西 ガンが死亡原因の第一位になっていますが、ガンの治療というといまだに手術、抗がん剤、放射線の三大医療が当然のごとくまかり通っています。これにもちょっと疑問を感じますね。
田中 普通「三大」と銘打つ場合は、たくさんある中でも特に優れているものを3つあげるという意味じゃないですか。ガン治療の場合は、3つ以外に選択肢がないわけですから、言い方がおかしいですよね。
中西 ほかにないのですか?
田中 日本には無いです。治療ガイドラインがあるので、それに沿って治療をしています。そこから外れた治療をすると、もし裁判になったときには不利になる可能性があります。ですから医者は三大療法を駆使して患者さんが苦しもうと、そこから外れるわけにはいかないのです。その枠の中で「最善を尽くしている」というわけです。
中西 困ったもんだなぁ。こういう医療はずっと続くのでしょうか。
田中 なかなか医療現場の中からは気づきにくいので、まず医療を受ける患者さんの側から意識を変えていくことが大事だと感じます。
中西 そうなると、今後どういった医療を目指すべきなのでしょうか。
田中 やはり病気にさせない体づくりが大事になるでしょう。古代ギリシャの聖医ヒポクラテスは「人は体内に100人の名医を持っている。 医者のなすべきことは、その名医を手助けすることだ」と言っていましたが、要するに自己治癒力を引き出しなさいということですよ。
医大では病気について学びますが、健康については学びません。教えません。だから医者に聞いても健康になる方法は教われません。物質的なものと非物質的なもの、つまり肉体と心・魂のバランスが調和されていることです。最終的には心・魂の問題なのです。心の部分はまだ浅くこの世的ですが、もっと深く魂まで癒されることが大事なのです。心にストレスを抱えると胃に穴が開くことがありますが、心が揺らぐと体も揺らぐからです。もっと深い魂レベルの癒しが必要です。
魂を癒す方法としてはヨガでも気功でもヒーリングでもいろいろあると思いますが、まず自分にあったものを選べばいいと思います。
私が最も心を病んでいたときは、沖縄の海岸で潮騒を聞きながら3時間半、砂浜に穴を掘り続けていました。他には、オーケストラの生演奏で音楽の振動を感じたいと思い、週に5回演奏会へ行ったこともあります。
癒されるときは心身が緩みますから、そう感じたときが癒されたときなのです。人によって癒され方はみな違いますから、自分がいちばん緩む方法でやればいいのです。
どちらにせよ、これからの医療は魂の癒しが大事になってくると思います。
日本は薬を過信
中西 諸外国の医療事情はどうなんでしょうか。
田中 ヨーロッパでは元々自然療法が各家庭にも根付いていて、開業医も治療法として普通にヒーリングやホメオパシーを取り入れています。アメリカでも全米ナンバー1のがんセンターの治療法の中に統合医療という項目がありますし、治療プログラムにはヨガや鍼、太極拳、体操などが組まれています。
そういったところは日本は本当に遅れていて、ガラパゴス医療になっています。薬だってあちらでは日本のようにすぐに出しませんからね。薬がほしいと言うと「なんで?」と聞き返されます。
中西 欧米では薬中心の医療は1970年代の話ですよね。
田中 世界中の製薬会社のお得意様が日本ですから……。このような薬を中心とした医療は、薬に対して過信している日本人の多さを物語っています。今の日本の医療が世界から見ると珍しいのだと認識することです。
そうやって一つずつ、いままで当たり前だった医療の在り方を見直していくと、おのずともっと自由な「医療」というものが見えてくると思います。そういった意識がどんどん広がっていくことの手助けをしていきたいです。
中西 応援します。今日はお忙しいところ、ありがとうございました。
(合掌)